ヒツジくんの日記

仕事、育児、趣味、考えたことを徒然なるままに。

SMAPは芸能界におけるホストサーバーである

普段あまりこういうテーマでは書かないんですが、この一週間、猫も杓子もSMAPな状態なのでちょっと感じた事をまとめておきたいと思います。

まとめ


  • SMAPは長い活動を経て、芸能界というシステムの中枢にあるホストサーバーのような存在になっていた。
  • ホストサーバーは自分の都合で止めたりリニューアルする事ができない。
  • スペック(歌や踊りの上手さ)はもはや関係なく、置かれている立場、担っている役割が全てである。
  • 端的に歌や踊りの技術(スペック)を議論する対象ではない。担っている役割がホストサーバーならば、例えどんなスペックだとしてもそれは立派なホストサーバーなのだ。
  • 解散騒動でそれが改めて浮き彫りになった。





SMAPが解散するしないというニュースが日本中を駆け巡って、

政治家や大物芸能人がコメントしたり、新聞記事の見出しにSMAPのヒット曲を織り込んでいたりするのを見て、最初に素直に思ったのは

いくらなんでも騒ぎすぎだろう


という事なんですよね。

人気者なのは分かるけど、例えば歌だって決して上手いとは思わないし、踊りだって、EXILEの方が凄い。

解散で悲しいのは分かるけど、何もNHKの朝のニュースでまで取り上げるようなことか!?と。

SMAPという立ち位置の難しさ


最初に立場をはっきりさせておくと、私はSMAPに対してはアンチではなく、むしろ好ましく思っている方だと思います。

中高生の頃はあまり好きじゃなかったんですが、

自分が年を取るにつれて、

やっぱりなんだかんだ言ってあれだけ長い間芸能界のトップクラスにアイドルグループという位置付けのままで君臨し続けるって、凄いことだよなと思うようになりました。

解散するのは残念だけれども、まあ逆に、不惑を超えたアイドルグループってどうなのよとは思っていたんですよね。

TOKIOの場合、ジョージ・マシゲル(城島茂)という素晴らしいリーダーのお陰もあって、メンバーが三十路を過ぎた頃から、その立ち位置を上手くアイドルグループの枠から、『カッコいいオッサンたち』の枠へとスライドさせていった訳ですが、

SMAPって、お笑い的な事をやったり司会やったり芝居をしていても、やはり基本線は王道のザ・アイドルグループなんですよね。

甘いマスクとキメたファッションでラブソングを歌って踊る存在。

日本の芸能界で70年代から続くきらびやかなアイドル文化の最後の正統な継承者。それがSMAPなのかなと。

でもそれって、若さを保たないと続けられないイバラの道だと思うんですね。
過去にそれに成功した人っているんだろうか。

年々メンバーの加齢とともに、激しいダンスの曲で息を切らしている様子をちょっと痛々しいなと感じるようになってきました。

要は、TOKIOみたいにふざける事もできず、嵐のようにホンワカする事もできないで、いつまでもプロフェッショナルなアイドルグループをやっている。

それって凄く苦しい事じゃないかと。

アイドルグループはいつかどこかで年齢的な限界が来るという前提に立って言えば、SMAPもどこかで上手くアイドルグループから脱却して、芸能界でのキャリアチェンジをする必要がある訳です。


SMAPはホストサーバーである


そう言った意味で、今回の解散するかもというニュースについて言えば、私は寧ろそれがベストなんじゃないかと思っていたんですよね。

元々は事務所のいざこざなのかもしれないけれど、丁度いいタイミングなんじゃないかと。

だから、解散にファンは嘆き悲しむだろうけど、基本的にはそのまま解散でいいんじゃないかと思っていました。

ところが、それが日本中で大きな騒動に発展。
そこへ来て、本人達から解散撤回の言葉。アイドルグループの継続。

そこからにじみ出てくる、

『やりたいとかやりたくないとかじゃなく、やり続けなきゃならないんだ』

というある種の覚悟。この重い感じ。


これって、IT業界におけるホストサーバーの立ち位置に似ているなと感じました。

SMAPは芸能界というシステムにおけるホストサーバーの一つだったんだということです。

ホストサーバーとは、銀行とか大企業のシステムの中枢を担っている巨大なコンピューターのことです。

これが止まってしまったら、企業のシステムは崩壊してしまう、みたいな存在。

例えば銀行のホストサーバーが止まってしまったら、預金も融資も為替も出来なくなって、銀行の機能はマヒしてしまいます。

だから、ホストサーバーは、何重にもセキュリティを高めたデータセンターの奥深くで24時間365日稼働し続けているんですね。


まあ、分かりやすく言えば、
ラピュタの木の根っこに守られてる巨大な飛行石の結晶みたいな感じでしょうか。

今回の解散のニュースは、恐らく、いわば『バルス(滅びの呪文)』みたいなものだったんですよね。

だから唱えてからその崩壊のインパクト、ヤバさ加減に気付いて撤回した、と。そういう事なんじゃないかなと感じたのです。

実際に映画にテレビに雑誌にと、彼らの顔が出てこない日はないぐらいに活躍していますよね。

その彼らがある日すっぽりといなくなってしまったら、一時的かも知れないけれど芸能界の機能はマヒすると思います。



冒頭に書いたように、私はSMAPのアンチではないのですが、それでも決して歌も踊りも超一流だとは思っていません。

特に歌は本職のはずなのにちょっと音程も聴いていてヤバイ時もあります。

歌や踊りや芝居や司会が上手い人は他にも沢山いる。

だから、アンチ的なモノの見方をするならば、

『あんなに歌ヘタなのに何で国民的歌手みたいな扱いなんだよ』

とか言う事もできると思います。


ただ、この事も、SMAPは芸能界システムのホストサーバーであるという仮説を立てると、ある程度納得がいくと思うのです。

つまりどう言う事かと言うと、


ホストサーバーは、
その役割がホストサーバーだからこそ
ホストサーバーたり得る


ということなんですね。

SMAPはその立ち位置が全てであり、歌唱力や踊りの上手さといったスペックはもはや関係ない領域に存在するのです。

コンピューターに置き換えて言えば、ホストの役割をあてがっている以上、そのマシンは誰が何と言おうとホストサーバーなのです。

そう、例えスペックが普通のパソコンやサーバーと余り変わらなかったとしても。

そして同時に、その役割を担っている以上、本人達がどう考えようと、簡単に止める事はできない。

次のホストサーバーが見つかる日までは稼働し続けなければならない。


そういう位置に彼らはいるのです。


今後彼らが、従来のプロフェッショナルな王道アイドルグループ路線を貫くのか、嵐などを次のホストサーバーに任命して、新しい路線を歩むのかは分かりませんが、そっと応援していたいと思います。


って、お前誰だよ笑